【帰国者必見】日本を去る時に「年金」を全額取り戻す方法(平均30〜50万円)


CEO / Native Japanese Expert
更新日: 2025年12月7日
日本を離れる外国人は、支払った年金の払い戻し(脱退一時金)が可能です。平均165万円を取り戻すための申請手順と、多くの人が捨ててしまっている「残り20%の税金」を回収する裏ワザを実数付きで解説します。

「日本で払った年金、掛け捨てになるのはもったいない…」そう思っていませんか?
実は、日本で働いていた外国人は、帰国時に 「脱退一時金 (Lump-sum Withdrawal Payment)」 として、支払った年金の大部分を取り戻すことができます。しかし、多くの人が陥る罠があります。それは、 「何もしないと80%しか戻ってこない」 ということです。
残りの約20%は「所得税」として天引きされてしまいますが、正しい手続き(確定申告)を行えば、これも取り戻せます。
平均的な会社員(5年勤務・月収30万円)なら、合計で 約165万円 が手元に戻ってくる可能性があります。これは、帰国後の新生活をスタートさせるための大きな資金になります。
この記事では、申請のタイミング、必要な書類、そして多くの人が諦めてしまう 「残り20%の税金を取り戻す方法」 まで、具体的な数字とステップで完全解説します。

1. いくら戻ってくる? 計算式と実例
まずは、あなたがどれくらいのお金を取り戻せるのか、具体的な数字でイメージしてみましょう。金額は、あなたが「厚生年金(会社員)」か「国民年金(自営業・学生)」か、そして「加入期間(最大60ヶ月)」によって決まります。
厚生年金 (Employees' Pension) の場合
会社員の方は、毎月の給料から天引きされていた厚生年金が対象です。計算式は少し複雑ですが、ざっくり言うと 「平均月収 × 支給率」 です。
ここで、 月収30万円で5年間(60ヶ月) 勤務したケースをシミュレーションしてみましょう。

- 支給総額 (額面): 1,650,000円
- これは、あなたが受け取る権利のある全額です。
- 【Step 1】 帰国後に振り込まれる額 (約80%): 1,313,070円
- 最初に手にするのはこの金額です。ここから、 20.42% (336,930円) が所得税として自動的に引かれています。
- 【Step 2】 確定申告で戻ってくる額 (約20%): 336,930円
- 多くの人がここを放置して、33万円をドブに捨てることになります。別途手続きをすれば、このお金もあなたのものです。
- 合計受取額: 1,650,000円
国民年金 (National Pension) の場合
自営業や学生の方が加入する国民年金は、加入期間に応じた「定額」です。令和6年度(2024年4月〜)の基準では以下の通りです。
- 36ヶ月 (3年) 加入: 298,620円
- 60ヶ月 (5年) 加入: 497,700円
💸 年金受取で「数千円」損していませんか?
大手銀行の海外送金は手数料が高額です。Wiseなら、実際の為替レート(ミッドマーケットレート)で着金するため、手取り額が最大で1万円以上変わることも。アカウントは無料で作れます。
2. 申請の絶対条件と「時効」
脱退一時金をもらうには、以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。
- 日本国籍を有していないこと
- 日本に住所を有していないこと (市役所で転出届を提出済みであること)
- 公的年金に6ヶ月以上加入していた期間があること
- 年金の受給権(加入期間10年以上など)を持っていないこと
注意:時効は「2年」
ここが最大の注意点です。日本を出て(住所を抜いて)から 2年以内 に請求しないと、権利は消滅します。
「帰国して落ち着いたらやろう」と思って放置し、気づいたら2年経っていた…という失敗談は後を絶ちません。
デメリット:加入期間はリセットされる
脱退一時金を受け取ると、それまでの年金加入期間は ゼロ にリセットされます。もし将来、再び日本に戻って永住権を取りたいと考えている場合、年金支払い実績がゼロに戻ることは審査に影響する可能性があります。
3. 【Step 1】 80%を取り戻す「脱退一時金」申請手順
まずは最初の80%を取り戻す手続きです。これは比較的シンプルで、自分一人で行えます。
いつやる?
帰国前(日本国内)から郵送することも可能ですが、「転出届」を出して住民票が除票された後でなければ審査されません。そのため、 帰国直後に海外から郵送する のが一般的で確実です。
必要書類
以下の4点を「日本年金機構」へ郵送します。
- 脱退一時金請求書 (年金機構のサイトからDL可能)
- パスポートのコピー
- 顔写真のページ
- 「出国スタンプ」のページ (重要!)
- 銀行口座の証明書
- 「銀行名」「支店名」「口座番号」「口座名義人(カタカナまた英語)」が確認できる書類。
- Wise (TransferWise) の口座証明書も利用可能です。
- 年金手帳(原本)
- コピーではなく、青やオレンジの 手帳そのもの を同封します。手帳は返却されません。
どれくらいかかる?
書類を郵送してから、指定口座に振り込まれるまで 平均4〜6ヶ月 かかります。忘れた頃に入金されるので、気長に待ちましょう。
4. 【Step 2】 残りの20%を取り戻す「税金還付」手順
ここからが本番です。Step 1で振り込まれた時、同時に 「脱退一時金支給決定通知書」 というハガキが送られてきます。
このハガキは絶対に捨てないでください!
これこそが、引かれた20.42%(例:33万円)を取り戻すための引換券です。
なぜ20%引かれる?
脱退一時金は「退職所得」とみなされ、非居住者(日本に住んでいない人)への支払いとなるため、一律20.42%の税金が源泉徴収されます。しかし、これを「退職所得の選択課税」として確定申告することで、払いすぎた税金として還付を受けられます。
取り戻す唯一の方法:納税管理人 (Tax Representative)
あなたはすでに日本にいないため、自分で税務署に行って申告することができません。代わりに手続きをしてくれる 「納税管理人」 を立てる必要があります。
誰に頼む?
- 日本にいる信頼できる友人・元同僚
- メリット:無料。
- デメリット:税務署に行ってもらう手間がかかる。還付金がいったん友人の口座に入るため、送金などのトラブルリスクがある。
- 有料の代行業者(行政書士・税理士)
- メリット:確実で楽。
- デメリット:手数料がかかる(還付額の10%〜20%程度、または固定数万円)。
具体的な手順フロー
- (帰国前) 税務署で「納税管理人の届出書」を提出する(友人に頼む場合)。
- (帰国後) 年金機構から届いた「支給決定通知書(原本)」を、日本の納税管理人に郵送する。
- (申告) 納税管理人が、管轄の税務署で還付申告を行う。
- (還付) 約1〜2ヶ月後、 納税管理人の日本の銀行口座 に還付金が振り込まれる。
- (送金) 納税管理人から、あなたの海外口座へ送金してもらう。
5. 帰国前にやっておくべき「3つの準備」
スムーズに全額取り戻すために、日本を離れる前にこれだけはやっておきましょう。
- 納税管理人を決めておく:
- 帰国してから友人を探して、書類をやり取りするのは非常に面倒です。帰国前に依頼し、できれば一緒に税務署に行って届出を出しておくとベストです。
- 年金手帳(基礎年金番号)を確保する:
- 会社に預けっぱなしになっていませんか?原本が必要です。紛失している場合は、年金事務所で再発行しておきましょう。
- 受取口座 (Wise) を開設する:
- 日本の銀行口座は、非居住者になると解約しなければならないケースが多いです。海外の銀行口座で受け取る場合、為替手数料が高い大手銀行よりも、Wise のようなサービスを使う方が手取り額が増えます。

📋 日本を出る準備、これだけで大丈夫?
年金以外にも、住民税の精算、銀行口座の解約、SIMカードの手続きなど、やるべきことは山積みです。出発直前に慌てないための「完全帰国チェックリスト」を用意しました。
よくある質問 (FAQ)
Q: 再入国する予定がある場合はどうすればいい? A: もし1〜2年以内に日本に戻って働く可能性があるなら、請求しない方が良いかもしれません。請求すると加入期間がリセットされ、将来の永住権申請や老後の年金受給資格(原則10年)のカウントがゼロからになってしまうからです。
Q: 会社が手続きを代行してくれますか? A: いいえ。脱退一時金は完全に個人の手続きです。会社は喪失届を出すだけですので、請求手続きは自分で行う必要があります。
Q: 日本の銀行口座で受け取ることはできますか? A: 可能ですが、おすすめしません。帰国時に口座を解約する必要がある場合が多く、維持できたとしても、後から海外送金する際に手間と手数料がかかります。最初から海外口座(またはWise)を指定する方がスムーズです。
Conclusion
年金還付は、単なるボーナスではありません。あなたが日本で汗水垂らして働き、積み立ててきた大切なお金です。
手続きは少し複雑で時間もかかりますが、 30万円〜50万円、場合によっては100万円以上 が戻ってくる権利を放棄するのはあまりにももったいないです。
まずは帰国前に「納税管理人」をお願いできる人を探し、Wiseのアカウントを作るところから始めましょう。この最後の一仕事で、あなたの日本生活を黒字で締めくくってください。

免責事項
※ この記事の情報は、執筆時点で正確です。法律や規制は変更される可能性があるため、常に公式ソースで最新情報を確認してください。この記事のコンテンツについて生じた損害については一切責任を負いません。


